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[186047] オレンジひとつ
詩人:どるとる [投票][編集]


帰り道は まっすぐ
家まで続く
ほら 悲しいことなんてもう見えないよ

それより 大事なことがある
若さを言い訳に 僕は 汚れた

オレンジひとつ
窓の外で
地平線の水底へ
消えてゆく

僕は泣かなかった
でも笑えなかった
それも本当なんだよ
だから何も言わないで静かに眠らせて

夜の闇の中にも光はあるんだよ
たとえばそれは 誰かの優しさや

ありふれた 思いやりだったりするよ
自分ばかり 見てたらわからない

月は ロールケーキ
断面には大きな
苺やバナナを入れて
クリームはたっぷり

僕は 泣けなかった
強がってばかりいた
強くなんてないのに
涙を流すことを恥ずかしがる弱虫だった

ああ もう どうすればいいんだろう
世界は 僕に 何を望んでいるんだろう
大げさに考えてはまた迷路の中 振り出しから

オレンジひとつ
窓の外で
地平線の水底へ
消えてゆく

僕は泣かなかった
でも笑えなかった
それも本当なんだよ
だから何も言わないで静かに眠らせて

おやすみを言うよ
すべての悲しみに
サヨナラを言うよ。

2014/08/17

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