シーンとした夜中。自分の部屋。スタンドに明かり。賑やかなラジオ。外に音なし。私は布団に入る。ゆったりゆったり。六畳の部屋が海に浮かんでるみたい。窓を開くとまっすぐな水面が見えるはず。夜の船旅だ。ゆったりゆったり、どこに行くとも知れぬ旅。行くにまかせて寝てしまおうか。今夜の海原はなんだか心地よい。波が優しい。満月が明るい。疲れた体がとろけていく。あぁー。なんとかスタンドに手を伸ばし、消灯。代わりに満月が明るくなった。では、良い旅を。
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