詩人:タキシード詩者 | [投票][編集] |
「雲は小さな水滴が集まったものなんだよ。だから、上に乗ることはできないんだよ。」
小学三年生がうれしそうに教えてくれた。間違ったことは言っていない。けど…否定したかった。
「雲は乗れて、上には、人が住んでるんだよ。」って…。
「えー!違うよ、知らないの?」と、言われるのが恐くてやめたけど。
今の親は何を教えているんだ。先生は何を教えているんだ。社会は何を教えてしまったんだ。想像力豊かな子供たちに。証された真実ばかりを教えるのが、教育ではない。進歩した科学は、子供達が知らなくて良いことまで、証明している。だからってわざわざ、そんなことを、無邪気な知識に埋め込むことはないだろう。
靴で天気予報するのが楽しかった。テレビでやっているそれより、よっぽど、信用できたし。誰かが予想した天気を知っていたって、それに執着するほど、天気にこだわっていなかったから。
太陽はなぜ光るか?月はなぜ形が変わるか?
理由は要らなかった。ただ僕らを照らし、時間を教えてくれれば、それで良かった。
良かったのに…。
僕らは現実ばかり知ってて、また次の世代に、現実ばかり教えるのだ。
月のウサギに会いたかった…