世は無情なり
人は信ずるものでなし
世は無常なり
世は非情なり
少しなりと
よい方へ向かえばと
祈っていたけれど

冷たい雨の降る
８月２９日
長年連れ添い
可愛がった猫が死んだ
治らぬ病気を抱え
俺の腕の中で
静かに目を閉じた
注射針が刺さるのを
見たとき
俺の胸まで痛んだよ
誰の手も借りない
ダンボール箱に
花の絨毯を敷き詰めて
お前の好きだった
マタタビもカツブシも
ほんとうに‥もう
俺自身が
入ってあげたくて

あられもない悲しみで
きつく抱きしめて
条件付きで
もしも生き返るなら
アバラが折れても
クビが折れてもいいよ

ネコまっしぐらで
俺が行くよ
今すぐ行くよ
お前のそばに
行くからね
淋しくなんかさせない
俺の恩返しだよ

おぉ…
ヨシヨシ賢いな
俺が知ってる
どの人間よりも
利口だよ

さっき小さく
可愛く鳴いたけど
なにが言いたいのか
やっぱりわかんなくて
とてもかなしかった
お前の友達は
死んじゃったんだよと
もう会えないんだよと
もう人間にかける
やさしさも
情けもなくていいね？
冷たい雨だけでいい
俺も手伝うから

ネコは学習する
俺がスリスリに弱い事
お手をすれば
おやつがもらえる事
小憎たらしい悪魔
あまい生活

もう動かない　嘘だ
だめだ　行くな
死神には渡さない
空をきる拳
ぽたりと
顎から落ちる涙
俺だけが生き残っても
しょうがねーよ

小さなお花畑に
隠れ住んでいた世
泣きごとを言うなかれ
お前へと続く流れ
全ての滅亡の序章
お前がうける
ダメージはそれほど

愛　ｄｅａｄ
Ｉ　ｄｅａｄ

ときどき鳴いた
それは天上界に属する
高い声で可愛く
「ゥな〜ン？