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[53725] アゲハ
詩人:弘哉 [投票][編集]

空から舞い降りた黒翼は
ひらりひらひら

お互いを隠しながら

どうせ消えてしまう運命ならば
どうか、どうか
偽ったままでもいい
どうか、どうか

地についた黒翼
覆い隠したものは

なんだったのだろう
今は知れない真実は
己より美しいものを隠して
生きることこそ美なのかと
問いかけることさえ叶わない

消えないくらいに乾ききった
雨とも知れぬ
涙とも知れぬ
想いはまざまざ混ざり合って
色はもうない

黒か赤かも分からない
それは血なのか
涙なのか

風とともに消え行き
風とともに去り行く
次の場所へと
己を美しく装いながら
そして消えていく

2005/10/28

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