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[81069] 雨の国
詩人:ライカ [投票][編集]

昼過ぎ

しっとり

水気のある

部屋に散らばった紙の感触

窓の外は

濃い緑さえもぼかす

真雨の国



タチアオイは

潤った その花弁を

桃色の羽根を広げた花弁を

そぼ濡らし

桃のしずくを滴らせ

哀 を語る




白く

霧雨に分け隔たれた山々は

別の国や

別の世界へと

誘おうとさえ見える


私は

その世界こそを

願ってやまない


私は

神隠しのような潔さを求め

その白に身を委ねることを

夢みるのだけれど


屋根を不規則に叩く

粒の音が心地よく

夢路の旅人であることだけで

満足しよう と

うつし世の

意識を手放そうとする


目が覚めたらば

おそらく

視界は晴れて

私は

またも乗車券を

取り損ねてしまったことを

がっかりせねばならない




しかし 仕様がないのだ

もうすぐ

ここは

夏に 身を焦がす



抜けた色の天を

健気にも見つめ続ける

黄金色の花にも

私は 

未練があるのだ






2006/07/16

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