| 詩人:松尾 優月 | [投票][編集] |
あたしの身体は軽くありまして
ほんとうに飛べるのだと、テトラポッドまでは、空を海に喩え包まれた感覚に涙してしまいました。
ちいさな、蟹
クリップなので
あたしがこの世界から消えてしまわないように、傷つけているけれど
挟むけれど
放して、浜辺の方角に手を振ったのです。
足場は涙もろくあるテトラポッド。
先に立ちサザンクロスの形のまま
コルコバードの丘に立つように
瞼を閉じれば、潮風の指先への会話。
海鳴りは、おいで、おいでの唄。
その、向こう側には確認できない岸があるはずなのですが、速すぎる海流は、彩ったばかりの水性で、色落ちて、あたしも落ちて。砂底に呼吸を拒むような鯨に、
あなたはあたし
と告げられてしまい、空を飛べたはずの身体は、やはり空を海に喩えて、
あたしは海を空に喩えて、
鯨雲に、いっくんと呼んだから。そろそろ、菜の花さんほんとうに飛んでしまいました。
此方は海洋管理事務局です。
テトラポッドの先は流れがはやく
大変危険です。
きがつけば、
必死にテトラポッドへ戻ってしまいましたが、この現実的なものは、息つくことを知り、砂底の鯨へ深呼吸を教えてあげられないだろうかと、自問自答していました。
優しく