詩人:松尾 優月 | [投票][編集] |
海岸線を歩く少女の見た風景に
湿気った曖昧の奥、確かなものはありましたか?
レムの浜辺で満たしたい星に、目を醒ました時に浮かんだ涙は星を宿して
震えた季節に、雪として落とし込んだなら、砂は潤してくれた。
心に海鳴りを、貝殻に残しているのでしょう。
秋を透かす眼差しとは違い
足元で鳴る、いつの季節も枯れ葉と
動作ひとつで割る、流れる風の面に、少女の解けた今が
背中側からだろう、たくさんの視線にぼやけた夜の縁日の仕立てを走りつづけ、寝転んでしまう。
音。引きずった脚と、さっきからの頭痛が歩みを早め、
拘りの紅、彩りは紅、だけで良かった。食べるよりも、眺め、少女は卵を抱く。と。
尾鰭は楕円形を描き出してその軌道に沈もうとして、花火は消え去ったように後押ししている音を風も貝殻へ終う。
光を、たくさん含んだ右、掌。
隠しきれない、引きずった脚。
海沿いを押されながら歩く少女、そのすべてを受け止めてあげたい。
それは、秋を越えた先、世界を一晩、借り切りにして、少女を包み隠してしまいたい。
空のよじれを消して
感情の波うち際
少年の迷彩を白色の呼吸で少女は、伝える、
卵を孵す為に。