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[88023] 夏の忘れ物
詩人:松尾 優月 [投票][編集]

いいえ。酷く、落ち込みました。雫を手のひらで受けとめて、はじめて涙に気づいたのです。※あなたからの、はじめての贈り物を、なくしてしまいました。あたしは、紗々、しつづけている24時の雨の中を、片割れの季節、途切れ途切れを編み込むように探し続けていたこと。忘れていながら秋へ、秋へ、向かうところでした。いつの晴れの海、あなたには、あたし。あたしには、あなた。重ねて見えていた。気流はカタチつくっていた。(きっとそらってふかいから雲隠れの月、夜の硝子細工が探していた。水を割りひとり寂しがっていた。あたし、白い腹を見せて。世界を逆さまに見ていたのだろうか。(いないんだあのこが。(ごめんごめんなさい。(たくさんさがしたんだ。まるで、別離、いいえ。ひとつからの((剥離))のような傷をあたしは、負いました。あなたは、は泣いていたのだろう。あたしは、は何を探しにいったのだろうか。初夏の。まだ触れることもないふたり。心からの内面から求め合った。そして、あたしへのお揃いの、(いっしょだよ。ね。(うん。いっしょだその、大切の行方知れず。二ヶ月を泳ぎあたしは、気づかれぬまま、忘れられたかのようで、秋だね。なんて、話を始めている。づっと、一緒って約束だったじゃあないか嘘つき。と、言ってしまったかもしれない。もう、遇えないかもしれない。※歩きたい気分だったのです。秋雨のような。夜、でした。俺は、すきだよ。とメールを流したあとの淡い発光。庭木の下での雨宿りと、少し寂しくうつむいて、いた。淡い発光。の先に見えた、見覚えのある、記憶の、夏の始まり。秋雨に、夏がいた。ちいさな、ちいさな。夏は、白い腹を見せて、紗々。くもの巣の、きらり。の奥。あたし(俺)は居たから、抱きしめた。無くした、大切の偶然いや、必然のような、はじめましての再会。と、いうならば 奇跡でありどれだけの想いといえば、涙をながした男が、真夜中に、ふたつを、ひとつに還すように抱きしめ、泣いている。という、運命そのままでいてほしい想い。重ねるように、ふたりは離れない運命なんだ、と。(おかえり、くじら。ごめんよ。ちいさな、夏、置いて過ぎ去り秋へ、向かおうとした。ごめんよ。ちいさな、秋、コノ子も一緒じゃなきゃ、だめなんだ。俺は、編みこむように、秋雨を掴み、鯨、金魚、ふたつをひとつに結んだ。俺は、君との約束を、夏の終わりから、秋に繋いだ。夏。青から、紅く染まれ。

2006/10/22

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