詩人:クジラ | [投票][編集] |
自分はどうして生まれてきたのかと
ただの一度も考えたことのない人が
幸せだとは限るまいて
祖父の夢を見た
病室で
祖父の頭の後ろに手を回し
そっと持ち上げ
水枕を替える
夢なのに
目覚めた後も
その感触だけが残っていた
いや
覚えているのだろう
この手が
祖父の頭の重さを
それはまるで
祖父の人生の重みであるかのように
祖父は最後まで
生きようとしていた
懸命に
ただそうすることが
当たり前であるかのように
苦しい苦しいと言いながら
血を吐きながら
息をするのも辛いと
傍にいる私に訴えながら
それでも祖父は
最後まで生きようとしていた
「生きたい」
それが祖父から私への
最後のメッセージであった
私は死ねない
大切な人との別れが
これからも続くとわかっていても
幸せを感じている時間より
不幸せな自分を嘆いている時間の方が
増えていく気がしていても
未来など大きすぎて
考えるだけで落ち込んでしまうけれど
不安は年々ふくらむばかりで
この先なくなるなんてことはないって
知っていても
自分はどうして生まれてきたのかと
悩み 苦しみ
生きていることが嫌になっても
それでも私は