| 詩人:フィリップ | [投票][編集] |
三年目の春は
何処か違っていた
頬を撫でる風の匂いが
いつもより冷たくて
乾いたような朝だった
旅立ちの列車の
発車時刻にはまだ早く
ポッカリと空いた
空白の時間を
眠れない僕はベッドから
飛び起きた後
しばらく外を
走ってみる事にした
踏み切りを越えた先の
いつもの道に立ってみた
車道を通るいくつもの
テールランプが流れてる
このまま時が止まって
光が一つの線になれば
僕は今程
泣きたくなった時は
過去も未来もないんじゃないかと思った
時間を迎え
乗り込んだ先の列車は
今朝は何故か満員だった
それは祝福かも知れない
また惜別かも知れない
とにかく
そういう感じに
列車はレールを走り出す
降りた後も
僕は周りを舐めるように
いつもより遅い足取りで
通学路を歩いてみた
前にも似たような
感覚に陥った
丁度三年前に
桜吹雪の校門
あの桜庭で僕は
今みたいな心境だった
全身を流れる血液の
幾千ビートもの鼓動が
ハッキリと聴こえている
僕が最後の校門くぐりを
しようとした時
あの時のように
桜がフワリと舞った
涙が溢れて
止まらなかった
まるで
何かの糸が切れたようだ
せっかくの式も
ぐしゃぐしゃになった視界のせいで
不発しそうな気がした
桜庭
不確かな道を歩いていた
あの頃僕は
桜に恋をしていた
今も
そしてこれからも
それはずっと変わらない
僕が息を整えて
軽く深呼吸をすると
無数の花片は風に乗って
どこまでも続く
あの青い空の向こうへ
輝きながら昇っていく