ホーム > 詩人の部屋 > 過去ログ > No.98000-98999 > No.98652「白い手」

過去ログ  〜 過去ログ No.98652 の表示 〜


[98652] 白い手
詩人:フィリップ [投票][編集]

その華奢な腕は
小さな愛に溢れていた

さほど大きくはない
その掌と二の腕は
幼い頃の僕を
抱いていた


写真の中の手に
僕の指を接触させてみる


そこから伝わったのは
決して麗らかな
太陽の微笑みではなく

一筋の
一直線の涙だった


戻れない世界は
外界と切り離されて

現実では風が吹いている
バックの公園も
砂塵一つ舞ってはいない

母の白い手は
美しかった

2007/03/21

前頁] [投票する] [次頁

- 詩人の部屋 -