詩人:フィリップ | [投票][編集] |
コツコツと
並木通り越しに聴こえる
名前も知らない
誰かの足音
その不安定な
無色透明な響きの中に
瑞々しい若葉と
愛を拾った
世界の端っこのような
四角い公園の入口に在る
高級車を見つけて
そこで拾った若葉を
片目を瞑って並べてみる
開いた右目には
高級車の膨大な価値が
瞑った左目には
若葉のささやかな価値が
現実のそれとは別に
見えるようだった
そうして見えたものは
やがて乱気流に乗って
私の部屋の窓から
はるか上空へ昇っていく
見い出そうとした何かは
もう見えない
ふいに
私の瞳の内側から
シャボンダマのような
涙が流れた