詩人:ありえす
いつまでもそうなのだろう
憂いな月をみて
ティーカップを割り
理由なんて必要なく
クオーツの瞳が
蛾をすいよせるようで
デフォルメの世界に眩暈するのだけど
動悸と羽音が交わり
凜光化した耳が月へと誘う
(生まれ舞う鱗粉が星
氏に手向ける
ルルへの道をいきなさい
イルミネーションの謝肉祭をつきぬければ
バイオレットカーテンがみえるでしょう)
生まれ変われるのでしょうか
簡単ではないでしょう
失うのでしょうか
壊朽を恐れたのなら
来世はあるのですか
懐古の世界に還るのです
透きとおる身体を脱ぎすてて
手毬のあいだを縫うのです
少しだけ呼吸をして
ティーカップにはきだして(割れていたなんて嘘のよう)
諦観なんて嘘のよう
美しい月に還るのです
美しい月に還るのです
(すべてははじまりでもあり
すべてのおわりも
さあいっしょにしまいましょう
うつつがしはいするせかいも死をもてば
なにもかんじないよねえこわくないんだ
だからいつまでもそうしていないでそろそろお茶にしませんか)
カーテンをあけて
手はつかわないで
出入りは一度だけ
決して振り向かず
ずっとこのままで