詩人:菊
汚れていく日々に無垢なあの娘は
何もかもを素直に受け止めていた
歳を重ねる流れに運ばれながら
ざらついた仕組みに幼さは削られていった
失っていった
表向きの言葉の世界で
笑っていた あの頃は今はもう写真の中
綺麗な人生を歩むのは不様と
事有る事に近道を強いられて
裸足のあの娘は傷つけられていった
泣いていた
泣いていた
「今日も誰かが自分を裏切り騙してる」
年頃になったあの娘は歪んだ
煙を閉じ込めた部屋で横たわり
切り裂く様な目つきを休めれば
色取り取りの花に囲まれた夢を見ていた
動物達と喋る幸せな寝言をこぼして
無邪気に微笑む寝顔は
泣いていた 泣いていた
閉め切ったブラインド
大声の雨音
おとぎの夢から覚めてもあの娘は
泣いていた