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[16482] 八月

詩人:SAD

何してんだろって
ふと気付くことがあって
そんな時は
何もかもが間違っているような気がしてきて
プランターよりも大きな向日葵や
道端のフェンスのしぼんだ朝顔の花が
薄明るい7時の生ぬるい風の中
妙に目についてくる
考えているのはいつも同じことで
その悩みを持ち始めた頃から
ずっと周り続けている
待ち合わせているあの人は
なかなか心を見せてくれなくて
会うたびにせつなさだけを連れてくる
あの人を待つ間に目の前を通る車は
当たり前のように今を擦り抜ける
この街に対する自分の比重が
ずれ始めてきているのに
白い月の影は
だんだんとはっきりしてきて
真夏の夕べのはりつく蒸気が
はなれていく心をつかまえる

片想いを告げたあの日から
表情の無くなったあの人が歩いてくる
目も合わせずに約束の場所へ
少しだけ前を歩く姿を
右目でとらえて 左目は伏し目がちに
アスファルトが冷めはじめて
動きやすくなった足とは裏腹に
周り続ける痛みは引きずって
それでも街は流れてて
二人の間に入り込んだ夕闇も
少しずつ色を変えていく
小さな自分に気付いた時に
何してんだろってふと気付いても
いつのまにかそのまま流れてて
月は知らぬ間に黄色くなり
空き地の虫の音も数を増す
ちょっとづつずれだした自分に
動きを止まぬ街の風がずっと付いてくる
行き先は多分決まってて
今までも 
これからも
間違っていると気付きながら
押されて 引かれて
月とあなたを追いかけながら
歩き続ける

2004/08/28 (Sat)
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