詩人:霧緋
目の前のあなたは
まるで眠っているように
優しくて綺麗な笑顔で
幼かった僕には
それが示す意味がわからなかった
ただ横たわったあなたの横で
いつものように眠りについた
『お母さん、朝だよ』
周りの知らない顔の大人たちから
悲しそうなたくさんの視線が
僕に注がれていた
あなたが豪華な車に乗せられた時
何処かすごく楽しい場所へ行くのだろうと思った
僕一人が残されて
帰ってきたのは小さな白い壷だった
『お母さん、いつ帰ってくるの?』
人形のように何も語らない知らない顔の大人たち
僕を見つめて泣いていた
2006/08/08 (Tue)