詩人:まちるだキリコ
君は白い雲の神様に触れた、寒い夜の残り人、だからと言って安らかに眠ることを誰も拒絶はしない
ただ私は、君より先に小さな雪を見て、風の行方を知ろうとする
君が起きたら君に教えてあげたい 何でも 何でも
冬の朝に川が薄く氷り
鳥達がスケートをしているようす、ぽつんと踊れない小鳥が親鳥をみていた
(あ、君は私を見つけ手を振る ああ、私は教えてあげたいかったのに)
どこかで小さな魚が隠れた、君のまわりは明るすぎるほど光に包まれている
ひとしきり ひとしきり
雪が君のまわりにあつまると君は春はどこから来るんだいと雪に聞いた
春は来る、春はそこまで
砂をつかみ川に流す、魔法のように氷がとけて
鳥たちは君に話しかける
ちい、ちい、ちい、
冬日さす空を見上げて君は川の氷を放り投げた
そこにはわたしたちの羽が、見えた気がする
「ひとりで歩いてきたの」
君は優しく私をなで光のほうへと歩いていく
あ、ぴたりと雪がやんだ
音だけが遠くからしてくる、雪の音、風の音
なでられた頭をさわる
うれしいもんか
うれしいもんか
君を追いかける
少しだけ、 笑いながら