詩人:チェシャ猫
キミの髪からふっとリンスの薫り
たったそれだけでボクの胸は高鳴るのに
キミは例えボクが抱きしめたとしても
少し困ったような顔で微笑むだけなのだろう
眠れない夜にキミの声が聞きたくて
何度も電話を手にしてはみるけれど
結局最後の番号を押せないまま
こみ上げる切なさにまたほほを濡らす
放課後の教室でキミと二人
不器用な言葉を繕って伝えた気持ち
キミは少し照れながらそっとうなづいて
耳元で「私もだよ」って そうささやいてくれたよね
帰り道のバスの中から
窓越しに見た夕暮れの空の色は
まるで絵の具をこぼしたようにキレイで
忘れないようにそっとパレットにうつした
長く伸びた二人の影法師
流れる川の音を聞きながら
ただみかん色のそらを見ていた
茜色に染まったキミの横顔に
思わず胸がキュンとなる
キミがあの人を忘れられなくたっていい
なくしたピースはボクが埋めてあげるから
いつか真っ白なジグソーパズルに
二人で今日の空を描こう
ずっと忘れないように・・・