詩人:露草
鏡のむこうで愛想よくわらってるひとと
鏡のまえにいる眉をひそめ下唇をかみ締めてるひとは
違うひとだけどおなじひと
どっちもわたし
あなたが知っているわたしと
わたしがしっているわたし
どっちもおなじひとじゃない
けれどどっちもわたし
あなたにウソはついていないけれど
あなたがしっているのは
ホントのわたしじゃない
どうにか伝えたいけれど
言葉にできないホントのわたし
無声の慟哭ひびけども
あなたに届かないホントのわたし
必死に絞ったこの声も
かすれて風に消えていく
むなしくひびくはおのまとぺ
ほおをなぞるは想いの雫
となりにいるのは秋の風