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詩人:漣福堂 九欒
朝日を見た。
朝焼けの空を見た。
雨の水分で潤った空気が、光に気絶しそうなグラデーションを施す。
私はベランダで彼女を眺めていて、
朝の冷気が、吐息を白くきらめかせた。
ふと下に目をやると、
通りをまばらに人が流れて行く。
街はほのかに灰色を含んで、静かに起き出そうとしていた。
私の目にある老人が写った。
彼もまた、朝日を眺めていた。
流れる人々の中、
彼だけが、光を見ていた。
赤子の様な純朴さと年月が作り出す深みが共在するその眼で、
まっすぐに朝を見つめていた。
今確実に、私と彼だけに、彼女は笑いかける。
月曜の朝、心に秘密が入り込む。