詩人:HOPE
照らす灯りがぼんやりと淡く
明るくはない だって空は雨で、今日は火曜日で、今は10月で、夜が始まる少し前
僕は帰り道の途中で迷子
今日のような風景にはモノ悲しい風景がお似合いで、そんな風景の中に溶け込んでしまいそうな僕が、僕は怖い
照らす灯りがぼんやりと淡いのは、本当は僕のせいで、だから目の前のドアを開けて誰かの足跡を探してた
(もう帰らなきゃ)
はしゃぎすぎた君が背中を丸めて押し開けたそドアの向こうは、なんだかモノ悲しい風景で、吐く息が暗闇に溶けて染み渡るような雨の夜だった
見上げたその先に忘れてしまいそうな黒い空が、ぼんやりと淡く暗闇を輝かせていた
だから君は見覚えのある足跡に気づけなくて、それを綺麗に踏み潰してしまった
暗闇が好きになれない君は、やっと探り当てた【灯り】を優しく灯して、そして、目を閉じた
見つけたから目を閉じた
見つけたのに目を閉じた
閉じたままつぶやいた
(ただいま)
酷い夢で目が覚めた
部屋にはドアがひとつだけ
今日も無音が響いて、耳の奥に残ってるの
明るくはない だってきっと空は雨で、きっと今日は火曜日で、きっと今は10月で、きっと夜が始まる少し前
こんな風景があったんだ…って、きっと世界は気づかないまま終わってしまうのね
きっと今日もドアは開かないわ
それでもいいと思った
それでもいつか誰かに言ってあげたいと思い続けているの
(おかえり)
って