詩人:黒影敦司
一匹の狼が佇む。それはとても遠くを見つめ、牙を向き、威嚇する。
広野をただ走り、未来と言う遠くを見つめる。最果ての地で一人。たった一人。どこの国も滅亡し、残ったのは俺一匹。それでも朝は又来る。蒼き広野の最果ての、向こうのその又向こうの、思いを馳せても汗だくになって歩く。そこが地平線の向こう、あそこに行けば街があると信じて越えてみても、ただその先には又、最果ての地平線が見えるだけ。狼は泣く、涙を流して。足に血を付けながらひたすら信じた地平線の向こうは、ただのただっぴろい広野−・・・さっきと同じ、地平線――――――・・・