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詩人:杞柳
ねぇ ドクター
あたしの心臓
異常なんでしょ?
隠したって分かるわよ
正常値は知らないけれど
誰が聴いたって あたしの脈拍は速い
自分の体だというのに
情けないわ
あたしはどうにも出来ないの
この心臓も
止まらない気持ちも
お願い ドクター
あたしにペースメーカーを頂戴
平穏な日常に戻りたいの
大丈夫 壊したりしないわ
あの人からの電波が
届くことはないから
ねぇ ドクター
あたし実はもう
長くないんでしょ
診なくたって判るわよ
判断基準は曖昧だけど
誰が見たってあたしの頬は赤い
自分の体だというのに
悔しいわ
あたしはどうにかしたいのに
この頬も
止まらない涙も
お願い ドクター
あたしに精神安定剤を
マトモな自分に戻りたいの
大丈夫 狂ったりしないわ
あの人への想いを
伝えることはないから
ねぇ
お願い
ドクター