詩人:夜神 火月
偽物だった
偽物だった
それを信じてた馬鹿な俺
何もなかった
何もなかった
けれど何かがあると思っていた愚かな俺
鏡に映った偽りの自分
「ふざけてる」なんて口にした
本当の自分は鏡のようで
片手で簡単に砕けた
割れた鏡
滴り落ちる血
孤独を匂わせて
朽ちる運命
誰にも気付かせない
誰も気付かない
本当はどこ?
「何も知らないくせに」…
助けて欲しくて泣いていたのか
いや、違う
自分を救えるのは自分だけ
苦しみに瞳閉ざして悲しみに溺れていたのか
いや、違う
痛みならば耐えられた…
君は何を見ていただろう?
真実は忠誠な痛みだね?
俺は何も言えなかった
「言わせてもくれなかったくせに」…
知らない誰かが笑っているよ
いつの間にか隣で…
君は何を知っていた?
心の傷は痛むばかりで…
「何も知らないくせに」
『お互い様だね』
嗚呼…また一つ終わってく…
君は何も思わない
君は何も気付かない
死を匂わせて紅が伝う
たった一言でさえ望めないんだね
いつも俺は此処に居るのに…