詩人:朱雀
爽(さや)けし小山の風樹の頂(いただき)
風見のカラスが見遣る先
光りほのめく草の原
ひとり ほとほと歩きます
しばし進めば分かれ道
九尾の狐が取り澄まし
物知り顔で尋ねます
『愚か者なら右の道
虚(うつ)け者ならその左
ぬしは孰(いず)れを選り取るや?』
別に当てなど無いゆえに
気の向くままに右左
ここで頭を搾るなど
ゆめ更更に思わねど
気色ばむ目に煽られて
ついぞ歩みを進めた拍子
―― 旋毛曲(つむじまがり)は
いずれ どのみち立ち戻る ――
乾いた笑いに掻き消され
もと居た小山の草の蔭
夢に夢見る
逢魔が時の夕惑(ゆうまどい)