詩人:千波 一也
鉄くずが
泣きやんだ
そんな
気がした夕暮れだから
昔ばなしはおしまい
今日はおしまい
◇
踏まれた枯れ葉が
くすっと笑って飛んでった
きっと誰しも
そうやって昨日を
語れるはずだから、ね
案ずるのはおしまい
ふやけるだけでは
重すぎるもの
◇
古い公園は
独りぼっちを嘆かない
だから
むごいいい訳はおしまい
今あるすべてを連れてゆこう
きっと、
ずっと
◇
すきま風は
呼び続けてる
いいえ、呼ばれ続けている
誰に、と
考えることが
もはや暖かいのだから
不幸な談義はもうおしまい
◇
くたびれた服と
くたびれたからだ
お互いさまで
世のなか上手にできている
だから、慰めはおしまい
今日はおしまい