詩人:千波 一也
空をあつめて
泣いてみたいとおもいます
たったひとりで
その
重みに
耐えかねて
幸と不幸の中間あたりを
泣いてみたいと
おもいます
海は
寡黙です
わたしの向こう側で
わたしの奥底を知り尽くし
海は
寡黙です
おかげでわたしは
おしゃべりに
なりました
飛ぶ鳥は
飛ぶ、という言葉を
知っているのでしょうか
答は
空をあつめることで
わかるのでしょう
か
かもめが
嘘をたべています
そうしてまたひとつ
ほんとのことが
温もります
わたしもきっと
それと同じです
あるいは
真逆と
たとえましょうか
空をあつめて
逃げ去りたいとおもいます
わたしの知らない
わたしのために