詩人:中村真生子
突然降り出した大粒の雨に傘の花咲く。その一つの下に寄り添いながら歩く若いカップル。睦まじく美しい姿に二羽のアゲハを思い出す。さっきまで居た木花開耶姫が祀られている神社の座敷のガラス障子越しに見た二羽のアゲハを。重なるように舞っていた青いアゲハを。彼らはもしや蝶の化身か。そんなふうに思うのもここが宇治だからだろうか。『源氏物語』の舞台ともなった…。