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詩人:右色
「決意」は砂のように指から零れ落ち
「退屈」はいつだって私を許容する
「なぜか?」
最初の疑問は繰り返され、その度に曖昧な答えを出す
私に何を語れというのだ?
私の中の少女は
既に
魔女と出会ってしまったというのに
どうして私に疑問を投げかける?
私は盲信したいのに
だから私は「感情」を買った
螺旋思考の最果てに住む
グリューベルンの魔女から
対価は「決意」
かくして
人形に魂は入れられた
笑うことも
怒ることも
泣く事だってできる
けれども
「決意」を失った人形は動けない
糸が無いから
(意図が無いから)
自分で考えて、行動する、意味を持てない
人形を許すのは「退屈」だけだ
誰かの「退屈」を埋める人形
「退屈」だけが人形の居場所
「退屈」こそが存在意義
故に私は「退屈」そのものだ
「退屈」に住まう魔女なのだ
決意なき選択によって「退屈」は人々に望まれ
乞われて現れた「退屈」は人々に狩り立てられる
私は
全ての感情を持ち
全ての決意を失った
「退屈」の魔女だ
私を望み
私を捨てるがいい
決意が無い私に目的は無く
過去も未来も存在しない
現在だけの私は
決して退屈しない
私を望むがいい
私は望んだものは全て叶えよう
いっそ望みが無くなるまで!
私を捨てる
私の与えるものはどんな形をしていようと
「退屈」から作ったもの
いずれ「退屈」に戻るのは当然のこと
私は目的を持たぬ故
私に退屈が訪れることは在り合えない