詩人:老女と口紅。
流れる程に美しく
朽ちゆけるからこそ
愛おしい‥。
魅力溢れる光景に
押さえ切れない衝動と
手に得られない欲望が
はがゆくも
もどかしい
感情を生む。
ただいたずらに激しく
揺さ振られた呼吸は乱れ
壁の隅から
鋭い視線へ
形を変えて
君の流動的な動線を
デジタルカメラで
捕まえたんだ。
何気のない一枚に
足止めを喰らうのは
その先も後もない
飲み込まれた瞬間で
異空間へと抜き取られ
四角い部屋へと固められ
机の上に飾られたのさ‥。
僕には冷たいコーヒーを
君には熱い視線を注ぎ
観賞する満足は
一方的な純愛で
屈折するプリズムの様に。
解放なんて
しないから‥
君の瞳は沈黙のままでしか
語るより手立てを知らず
ガクの中で微笑むだけで
自由なんてあるはずもなく
でも
ただ一つ言える事は
君の遠い先には自由が
セピア色さえ
色を失うという
永遠ではない
詩ナリオが
用意されているから‥。