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そほとの部屋  〜 「雹」への投 票 〜

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詩人:そほと

                 詩・曲 そほと

地元気象台の発表によれば
この時 鶏卵大の雹が観測されたらしい

急に暗くなった校庭に
白いものが跳ねて ころがった
一つ
また一つ
また一つ
二つ 三つ
けたたましい音を立て始めたのはピンポン玉ほどの雹だった
ぜんそくの予感

先生が教室の電気を点ける
いま何時間目だっけ
後頭部に潜んでいた闇がじわじわと広がって視界を侵食し始めた
ぜんそく
来た

休み時間になった
生まれて初めての大きな雹に
興奮し切った生徒達ははしゃぎまわる
一人ぼっちになるのが恐かったボクも
無理をしてはしゃぎまわる
視界が暗くなってきた
そうさ 空が真っ暗だからな
雹の白さが闇に眩しい

そこから記憶が飛んでいるんだ

先生の声だというのは分った
「 今 おかあさんを呼んだから 」

校庭を母に手を引かれて歩いていた
おんぶしてやるというのを断ったんだ
友達が見てるからね

学校が見えなくなると
母はしゃがんで背中を向けた
おんぶしてもらった
泣きたかった

今でも泣きたいのだ
ぜんそくの子供を残して死んでいった母と
同じ年になってしまったのだから
少しはいろんな事が分るから




2009/02/24 (Tue)
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