詩人:千波 一也
薔薇は
許されたかったのだろう
棘をまとって
なお、
許されたかったのだろう
それゆえ薔薇は
愛された
かつ、
おなじ分だけ
避けられた
薔薇には罪が
咲いている
ひとを寄せる罪と
ひとを遠ざける罪とが
咲いている
それを
こころは捨て置けないから
ひとの瞳は許されたがる
名前が
その身に
秘めるのは
いつしか忘れた
透明な傷
もう、
きわめて美しいことだから
だれも声には出さないけれど
罪は
まったく
なくならない
ほら、
もうじき開く
罪が咲く
ひと、という名で身を包む
まったく同じ罪の
傍ら
2010/06/03 (Thu)