詩人:千波 一也
忘れたいがための
白砂に
手は、
わたくしの手は
ひかりを持て余すことだけに
精いっぱいでした
乱反射、のもたらす
甘くも厳しい
まやかしを
上手なことばで
見送れなくて
月がこだまする
昼、という名のもうひとつの夜があります
が、
それをにわかには信じられません
そうしてそれが
信じることの原動力となるのです
夢は叶う、と
傷つき続けるように
潮風が
哀しいくらいに
染み渡るのは
われわれ、
人間の器のせいに
他なりません
太陽でさえ
こらえきれずに
嫌われたりもするのですから
あした、
野原が乾いたのなら
みんなで涙を流しましょう
それが
律儀というものです
白砂みたいな
やわらかそうな一直線を
好むのならば、なお