詩人:千波 一也
ひとは潮の途中になにを聴くというのだろう聴くという言葉ははなはだ都合がよくてかげかたちが整えばそれは素敵な嘘になる耳を聴く耳はどこにあるだろうか問うよりもまず見えていないことが見えてしまっているのだと勇気を風にはなせばいいのに満ち足りて、なお満ち足りていきたくはないふりをする赤子のようなふしぎな連鎖それにあらがう火がやさしいかぎり海は果てなく海をひそめる