詩人:千波 一也
ぽちょん、と
金魚をかたどるように
あなたは時々
ことばを
誤る
けれど
あなたの誤りかたは
どう透かしても虹だから
わたしもいまでは
すっかり晴れ好き
風船みたいな成功も
風船みたいな失敗も
そらの彼方できれいだろうね、
いまではすっかり
きれいだろうね
こんなふうに
頷いたきょうの日も
じわじわしずかに
きのうへ
向かう
迷路のなかに
日常があるのなら
わたしはあまりに恵まれた果実だと思う
過ちを
豊かに積み上げることが
迷路に住まうしきたりだから
わたしはあまりに恵まれている、と
ときどき安らぐ
そうして
わたしが笑むときは
あなたは決まって
同調したり
相反したり
自分を囲うやわらかな温もりのなかで
精一杯に格闘している
わたしはあなたの敵ではなくて
わたしはあなたの味方でもない
ただただ同じであって
その
同じ、の意味が
ほんの少しほろ苦い
ただそれだけ
なかなか素直に
飲み込めなくても