詩人:千波 一也
しなやかな
金属みたいにまっすぐに
子どもは晴れを願います
てるてるぼうずは
それを
聞いたか
聞かぬか
わかりません
けれども確かにそこにいます
子どもが見上げるすぐそこに
てるてるぼうずは
いてくれます
ひとの世に
変わってはいけないものが
あるとしたら
かような
祈りのかたちが
挙げられるでしょう
晴れの日を願うことなど
めっきり減った大人はいつも
子どもの願いを
後押しします
その子のために
その子の笑顔のために、と
いつか自分が
同じくしてもらったように
子どもの願いを
復唱します
大人になった子から子へ
だれに
強制されるでもなく
まっすぐに信じるすべを
まっすぐに包み込むすべは
そうして継がれゆくのでしょう
それでもずっと
てるてるぼうずは寡黙なままで
聞いたか
聞かぬか
わかりませんが
それで良いのです
そうでなくては
ならないのです