詩人:千波 一也
あまりにも
咲き過ぎているから、と
たんぽぽを抜く
紫いろの可愛い花や
可憐にしろい小花の群れは
そのままにして
たんぽぽを抜く
たんぽぽは
花、という肩書きを剥がされて
そこらの日陰に無造作に
雑草として捨てられる
なにごとも
度を過ぎてはいけないことだから
たんぽぽ抜きは仕方ない
控えめで
めずらしい花たちが
捨てられづらいのも仕方ない
わたしの日々も
まったく同じようにして
仕方ないことばかりの
くり返し
積もりゆくたんぽぽの為になど
わたしはひとつも嘆かない
まぶしい陽射しと
にじみ出る汗との不快さに
負けじと黙々
励むだけ