詩人:千波 一也
草木のゆれる
その方角に
わたしはときを聴いている
これまでを悔い
これからを問い
わたしは巧みに
たじろいでいる
雲のちぎれる
その方角に
わたしはことばを呼んでいる
形になるのも
形にならぬも
すべて等しく
祝福したくて
、されたくて
潮騒のけむる
その方角に
わたしはひとを嗅いでいる
愛したことも
憎んだことも
ことばを離れ
波間に燃える
刹那のつみあがる
その方角に
わたしはわたしを生み落とす
救い、といえば
聞こえの良い
つくろい、
拾い、を
さまよいながら
2011/08/18 (Thu)