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詩人:甘味亭 真朱麻呂
心の奥潜めた想い
瞼を閉じた先にある暗闇
淡く甘い色で染めて
僕の心を隙間もなく染めて
張り裂けそうな傷み
見覚えのある記憶
夢の中でさまよっているのは
夢見ることを忘れてしまった哀れな天使か
黒く塗りつぶされた空の色に似た心
忘れ去られてしまった廃屋の夢
目覚めてみれば
そこは現実
見上げた先に映るのは雨降りの世界
日記のページは全部インクで黒く塗りつぶされて
振り返ってもそこにあるのは
儚き悪夢の後
雨上がりの空
地を這う鳥
暗い部屋に独り
うなされながら
起き上がった
吹き込む風はかすかに潮の香りを含んで
花瓶に生けた花を揺らしている
ただゆらゆらと
消えぬ不安の中で揺らしている
叶わぬ夢を胸に抱きながら
今夜も眠りの中へ
いつか
覚めぬ眠りの中へ。