詩人:どるとる
涙の向こうの景色
にじんでは揺れるそのさまはまるで風景を閉じ込めた一枚の絵のよう
まるでスリガラスを見てるよう
瞼を閉じて
今、余計な言葉をしまって
僕はそのにじんだ景色を見つめて深い深い微睡みに沈む
そして夜は始まる
全ての光を喰らい
水銀灯の中で静かに
朝は身を隠すように夜明けを待つ
名画と名高きモナリザの微笑みも消え入りそうなくらい
眩しい君の笑顔
そして大手を振り
待ち望む 未来
今はただ 夢を見て
夜を理由に 床に着く
悲しみは飽きず僕を悲しませて
喜びは呆れず僕を喜ばせて
いつもの日常がそこにあるだけ
何も変わらずに
今、夜を見つめてる僕のこの目には夜が映っているけれど
ほら ただ夜というだけでは簡単すぎてさ
なんと言えばいいのかもわからなくてさ
三日月 雲間から こちらをのぞき込んでる
あたりまえなことが全て幸せと思えたらいいなと思う
だから 夜は僕にとってはただ暗くて静かなだけでいいのさ
いつものような平穏さがあればそれで
夜は悲しくてもいいから 涙こぼすその理由をたずねることもしないまま 三日月はただ光り 窓から見上げてる僕を照らしてる
それだけでもう夜なんだってひとり頷いてひとりで納得して呟くようにおやすみを言う
水彩に溶けし夜
今、じわりと
にじんで広がる
波紋のように
涙が 心の水面を乱す
美しい その色を遠目に映して。