詩人:千波 一也
灯台の
岬で
風が吹いたら
きみは
揺れる
髪も
すそも
きれいにつれて
きみは揺れる
それは
取るに足らない一瞬だけど
きみにまつわる
ささいなすべてを
よろこぶ権利に
ぼくはそよぐ
海は
おだやかに
晴れているから
灯台はただ
黙ってる
それが
なぜだか
まぶしくて
ぼくは見ている
とおくを
見ている
風が吹いたら
ぼくはめくれる
ぱらり、と
めくれる
ぼくの
ページにとまる
きみの指を
思いながら
ぱらり、と
めくれる
風が吹いたら
ぼくは
そんなことを考えている
すずしい顔して
考えている
灯台の
岬で
とおくを
見ている
ふりをして