詩人:EASY
一匹の蚊が
この部屋にいる
刺された箇所は数ヶ所に渡り
痒くて眠れない
意を決した俺は電気をつけ蚊を退治する事にしたが
蚊を見つけては見失う
天井にいた蚊を見つけては
新聞紙でフルスイング
だが
またしても空振りだ
しかも上の階の人に
かなり迷惑な事にも気付き
蚊への憎悪は膨らむのだ
再び蚊の気配を感じた俺は素早く立ち上がったが
タンスの角に足の小指をぶつけ
悶絶するに至る
再び部屋の壁に現れた蚊を狙い
静かに立ち上がったが
蚊を見つめ
足元を見てない俺は
灰皿をひっくりがえし
タバコの灰を掃除して
電気を消すのだ
蚊を殺すのを
諦めたのではない
今日はこのくらいで
終わりにしておくのだ
また明日もある
実はこの蚊は
おそらく4日ほど前からこの部屋にいるのだ
そしておそらく
ほんのささやさにだが
この蚊は
愛しさの何らかを
俺に教えてくれている
回りくどい
この人生のように