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詩人:高級スプーンあと何年
話し声が聞こえる
夢は現
微睡みに割り込み
咳き込み逆流するのは
目先の欲
コンビニの袋に
さっき買って
食べた全てを戻した
代金は戻ってこない
六畳一間の夜
眠気も失くして
寄り添ってくれるのは
空虚だけ
だなんて
想像上の概念を
詩的に表現してみても
表に現れてはくれない
街中を彷徨って
ひとり大きな声で
怒鳴っているように
誰からも
相手にされなくても
ひたすら
声を荒げているように
もう持たなかった
だとしても
堪え兼ねて
嘔げた吐瀉物
誰にも見られず
捨てに行く
おい空虚
何とか言えよ
ただのことばは
こだましない
沈黙が目の前を流れる
それをじっと見ている
気持ち悪さが収まって
お腹が空いたら
またコンビニで
好きな物を買えばいい
実際
並んでいるのを見ると
何も選べずに
時間だけが過ぎる
ああ、もう
無作為に手に取って
買って帰る
未来を濁すのに
丁度良い味がする
カップ麺をすする
涙もすすれば
詩になるか
うまくもないし
誰からの返事もない
食欲を満たせば
再び眠気がやって来る
遠くの方から
話し声が聞こえる