詩人:望月 ゆき
そこに宿った
小さき 命
光を浴びることのなかった
小さき 命
その人の涙は
暗闇にひとすじ
混じりけのない
透明な線を描く
ぽつり、と落ちた水溜りには
空の雲が映って
その陰から
青い玉
のようなものが
こちらを眺めていた
どうやら ちょっと
タイミングを間違えちゃったみたい
今 また ここで順番待ちなんだ
待っててね
その玉は くったくのない顔を向け
微笑んで 手を振る
青く ゆらゆらと
芽生えて はじけた
幽かな命は
決して消えたのではない
必ず そこに 戻ってくるよ
2004/06/26 (Sat)