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[153349] 魔法

詩人:どるとる


『愛してる』という魔法の呪文で二人はつながった
リボンを結ぶように最初は一本ずつだったリボンがひとつに重なって ぼくらはひとつになった

小さな出来事の積み重ねが導く きらめく明日
ほら 春の陽射しの先で 日だまり 揺れている、まぶしいくらい

押し寄せる波
何かが近づく 予感
海に戻ろうとする貝殻が岸に押し戻されるように何度も願った祈りは音信不通の携帯みたいになんの音沙汰もないまま

『愛してる』という魔法の呪文は今あの日より特別になって二人の心をさらにほどけないくらい強く結び
ちょっとだけ育って
ぼくらの心によりあたたかい灯をともした

夜明けととも
見える光の先に
それとはまた違う
希望の光がまたたいた
さあ 会いに行こう
君を照らす光に
今 言葉は輝いて
一筋の閃光が 夜空に弧を描く

あの星はなんていうんだろう
そんな君の小さな疑問にさえ こたえられなかったぼくの情けなさが今になって
胸を突き刺すんだ

ごめんね 流れ星のように消えた この世界でいちばん大切な大切な人よ
魔法のようにあらわれて
魔法のように消えて行ゆんだね
おとぎ話じゃないけど
12時の鐘が鳴ったら魔法は解けて君はぼくの君でなくなるみたいに

さよなら 勝手なイメージ膨らませてた
ぼくの風船は君の涙でたやすく割れました
さよならの魔法がほら鐘を響かせから
ぼくらは手を振って
さよならしたんだ

コーヒーの中で少しずつ溶けてゆく角砂糖みたいに君は魔法のように消えたね

夢の後先
口笛の矛先へ
消えてゆく

魔法のように
恋ははじまり
魔法のように
恋は終わる

そんな魔法仕掛けの時間は今もまだ続く
大切な大切な何かが欠けたまま 未完成の魔法が ただ ぼくに悲しい夢を魅せ続ける。

2010/02/14 (Sun)
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