詩人:アル
広き宇宙の
寂しさに
青き地球に
魅せられて
ひとり降り立つ
花一輪
痩せてまばらな
杉の原
風吹き抜ける
夕間暮れ
此処に居ますと
叫ぶけど
鬼も通わぬ峠道
心細さに身は震え
後悔ばかり先に立つ
寒さ厳しき尾根越える
同行二人の旅の僧
道に倒れて陽に焼かれ
風が弔う屍を
あはれと涙催して
手向ける花はないものか
青紫に頬染めて
風に震える
可憐さに
躊躇いがちに
手を合わせ
手折りし花を屍に
乗せれば不思議
血が巡り息吹き返し
尾を振る子犬
次第に意識薄れゆき
痺れ萎れて逝く花が
見上げた夜空
星々が涙に濡れて
祈るように
瞬きながら泣いていた
風に震えて夕間暮れ
枯れて大地の土となる
星の形の桔梗一輪