詩人:老女と口紅。
先日
鼻唄を歌いながら
みずから巻いた種が
わがままな
花を咲かす。
/
片隅にある脳内の花壇に
分厚い壁で不穏な風を囲い
大切に大切に
放置しておく
するとドス黒い芽を出し
ひねくれた双葉がお目見え
その気持ちの悪い風体に
吐き気をもよおせば
腐る感情を養分にして
またヒョロリと背を伸ばす
何かがブチッ!と響く瞬間
ニッコリと大きな花が咲く
お花畑が出来る前に
ほんの僅かな勇気を絞り
お天ト様を
少し浴びたら
気味の悪い大きな花は
僕の顔色を伺いながら
恨めしそうに
静かに枯れた。
だが
この花は
僕の心の中に
深く深く根を
下ろしたまま
何度でも
咲こうとする。