詩人:遥 カズナ
道路脇へ車を止めると
夜のフロントガラスの雨は過ぎ去る ヘッドライトやテールランプを溶かし
まばゆいステンドグラスの物語は
渦巻く万華鏡の縁を零れ
さんざめく銀河の賛美歌が響きわたる
「科学でも 光の正体は 未だに解き明かされてはいないのだという…」
ため息に曇る霜をぬぐい
プリズムのスペクトルから覗く完璧な虹の悲運は
どんなにか目を凝らしても感知できぬ視覚
海の潮騒に似た
深呼吸は 繰り返し打ち寄せ
ただ遠くへと 去ってゆく
「光の正体は 宇宙の真理の核心部分なのかもしれない」
けれんみなど知らない
素敵なスピードの水しぶきに覚まされ
ようやくエンジンキーを
ゆっくりと 静かに回す
すべからく
光と
相対しながら