詩人:千波 一也
いらない人など
どこにもいないと云うのなら
いらない悲しみもきっと
どこにもない
いらない人というものが
もしもどこかに在るならば
目の前の喜びに怯える日々は
ずっと積もってしまうだろう
甘い果実もにがい果実も
内に秘めたはかなさは
どれもたがわず軽やかで
どれもたがわず重たくて
はかないものの別名は、永遠となる
一個だけでは成しえない
ひとりだけではたどり着けない
互いのちがいが消えないように
だれも同じく熟れてゆく
たとえどんなにはかないものも
ひとつ残らず結ばれて
ひとつ残らず永遠になる
たとえどんなにはかないものも